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巽社長インタビューVol.8「世界のママに手を差し伸べて」
目次
前回までの連載では、巽社長の行動力、自分をめでること、経営のリアル、そして子どもが見ている親の背中について語っていただきました。
最終回となる今回は、巽社長がパキスタンで目の当たりにした衝撃の景色と、そこから見えた「幸せの原点」。そして、ママの支援から始まり、世代をつなぐ新たな挑戦へと広がっていく、巽社長のこれからのビジョンをお届けします。
パキスタンの土の上で、母たちは笑っていた
——編集部
パキスタンでのボランティア活動について聞かせてください。
——巽社長
2025年11月29日から3日間、パキスタンに行ってきました。「エンドポリオ」という活動で、ポリオワクチンの接種支援のためです。
日本では、子どもが生まれたらポリオの予防接種を受けるのがほぼ当たり前になっています。でも、パキスタンやアフガニスタンの一部には、まだその接種さえ受けられていない子どもたちがいるんです。
現地に行って、正直、衝撃を受けました。「貧困」という一言では片付けられないような過酷な現状を目の当たりにして、見ていられない気持ちになりました。
教育も行き届いておらず、現地では13〜14歳という若さで初めての出産を迎える女の子たちもいると聞きました。もし教育があれば、守られた命や未来があったのではないかと痛感しています。
——編集部
現地のお母さんたちの様子はいかがでしたか?
——巽社長
土の上でテント暮らしをしている人たちがいるんです。電気もない。明かりもないところで出産している。水の浄化設備もないから、お産の後、赤ちゃんをどうしているのか心配になりました。
でもね、驚いたのは——この人たちは全然、不幸だとは自分たちでは思っていないんです。
土の上を、生まれて1週間ぐらいの赤ちゃんを抱っこした若いお母さんが——多分まだ出血しているはずなんですけど——笑顔で私たちを迎えてくれた。お花をつけてくれたり、すごく歓迎してくださる。
明日食べるものがあるかもわからない。明日生きていられるかもわからない。そんな状況の中で、あの笑顔なんです。
「幸せ」の原点に気づいた日
——編集部
その経験から、何を感じましたか?
——巽社長
私、日頃から自分の幸福論をすごく考える方なんですけど、あの景色を見て、「全然、幸せやん」って思ったんです。自分が、ということです。
私はご飯を食べてまずかったら文句を言うことがある。でもこの人たちは、明日のご飯があるかもわからない中で生きている。日本に生まれたというだけで、100倍ぐらいの幸せを得られているんだ——そのことに気づかされました。
当たり前のように水が出ること。電気がつくこと。安心して眠れる場所があること。全部が、当たり前じゃない。パキスタンに行って、改めて「今あるもの」に気づくことの大切さを実感しました。
ペットボトルのキャップ1個から始められること
——編集部
私たちにもできることはありますか?
——巽社長
あります。目の前からできることって、たくさんあるんです。
ポリオワクチンの支援は、皆さんが普段捨ててしまうかもしれない『ペットボトルキャップ』を回収し、それをリサイクル資源として売却した利益で、ワクチンを世界の子どもたちに届ける活動です。
水のことでも同じです。浄水設備を1つ、80万円でつくるだけで、その村の2,000人の人たちが助かる。80万円ですよ。日本の感覚からすると、決して途方もない金額じゃない。
「誰かの幸せのために何かしたい」「人の役に立ちたい」と思う気持ちがあるなら、世界にはこんなに恵まれない子どもたちがいるということを知ってほしい。そして、ペットボトルのキャップ1個から、行動を始めてほしい。
このミッション——ポリオが世界から絶滅するまで——私は続けていこうと決めました。
「点」を「線」に、「線」を「面」に
——編集部
巽社長の活動は国内でも広がり続けていますね。
——巽社長
10年間、大阪で「点」として頑張ってきました。でもある時気づいたんです。全国には本当にたくさん、いろんな形でママ支援、子育て支援、女性支援をされている方がいる。なのに、みんな「点」で頑張っている。
なんで、こんなに同じ方向を向いているのに、みんなバラバラに「点」で頑張るんだろう——それが、私のセカンドステージの出発点でした。
もしこの人たちの「点」が「線」になって、「線」が「面」になった時の、ママの威力って、社会や法律だって変えられるぐらいのパワーになるんじゃないかと思ったんです。
だからママの夢サミットを全国で展開して、2024年は14拠点で開催、年間1,000人が参加してくれました。ママたちが夢を語り、応援し合う仲間をつくっていく。そのシナジーが、どんどん広がっています。
次の挑戦——シニアプラス
——編集部
新たに立ち上げた「シニアプラス」について教えてください。
——巽社長
53歳になって、親世代のことも深刻に考えるようになりました。この日本を高度成長期に支えてくれた世代の人たちの声を、次の世代につなぐのも、私たちの役目なんじゃないかと。
実は、ママの夢サミットを先にやるか、シニアプラスを先にやるか、7年前に迷っていたんです。でも「まずは本業のママから始めて、磁場をつくってからシニアに広げたらどうですか」とアドバイスをもらって、ママノユメを先にやった。今、ママノユメがある程度全国に広がったので、次はシニアだなと。
今のシニアの方って、めちゃくちゃ元気だし、めちゃくちゃ働ける。そういう人たちが活躍できる場を、ママの活躍できる場をつくったように、もう一度つくっていきたい。
ママもシニアも、共通しているのは「社会とつながりたい」「自分の力を活かしたい」という気持ちがあること。その気持ちに場を用意するのが、私の仕事なんだと思っています。
人の役に立ってこそ、真の豊かさ
——編集部
最後に、読者の皆さんへメッセージをお願いします。
——巽社長
私の夢をお伝えしますね。人のお役に立ってこそ真の豊かさであり、それが幸せにつながる。これが、私の信念です。
パキスタンで見た景色、国内で出会ったたくさんのママたち、そしてこれから出会うシニアの方々。すべてに共通しているのは、人と人がつながること、助け合うことで、世界は変わるということ。
目の前からできることは、たくさんあります。ペットボトルのキャップを集めることかもしれない。隣にいるママに「大丈夫?」と声をかけることかもしれない。自分の夢を口にすることかもしれない。
どんなに小さなことでもいい。「誰かの役に立ちたい」という気持ちがあるなら、今日から動いてみてください。一歩踏み出した先に、必ず新しい景色が広がっています。
私はこれからも走り続けます。ママたちと、シニアの方々と、そして世界中の人たちと手をつないで。
——連載「ママの夢は、動いた先にある。」全5回、お読みいただきありがとうございました。
巽房子は、「行動すること」「言葉にすること」「自分をめでること」「続けること」——そのすべてを自ら体現してきた人です。この連載が、あなたの中にある「やってみたい」を動かすきっかけになれば幸いです。
株式会社マザープラスについて 「ママたちを誰よりも応援する会社」として、ママの起業支援、コミュニティ運営、イベント企画などを展開。代表取締役社長・巽房子が育児中に自宅で始めたベビーマッサージ教室を原点に設立。全国約90のママ団体が登録するコミュニティ「ママノユメ」を運営し、2015年より全国78カ所で100回以上「ママの夢サミット」を開催している。
執筆者プロフィール
ママになった女性、ママになる女性、全ての女性にもっともっと元気になってもらいたいと、ママの立場に立った様々な企画や事業を展開しています。 子連れで楽しめるおけいこやイベント、ママの参加型マーケティング事業、さらにはママ向け求人情報など様々な事業の中で、ママと社会との架け橋になる役割を目指しています。 motherにたくさんのplusが加わる事で、ママの素敵な笑顔が増える、そして社会参加の機会をマザープラスは皆さんと一緒に作っていきたいと思います。

