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巽社長インタビューVol.1_「不安だったから、始められた」

巽社長インタビューVol.1_「不安だったから、始められた」

育児に追われる毎日の中で、ふと「このままでいいのかな」と感じたことはありませんか?

今回から全3回にわたってお届けするのは、株式会社マザープラス代表取締役社長・巽房子へのインタビュー連載です。育児真っ最中だった一人のママが、不安を抱えながらも自分の道を切り拓いていった——その原点を、巽社長ご自身の言葉でお届けします。

「この子が手を離れる頃、私は40歳を超えている」

——編集部

起業のきっかけを教えていただけますか?


——巽社長

きっかけは、本当にシンプルなんです。第2子を出産したときのことでした。生後2ヶ月の次男に授乳しながら、ふと考えたんですね。「この子が手を離れる頃、私は40歳を超えている。そのとき、社会に戻れるんだろうか」って。

それは焦りに近い感覚でした。育児はもちろん幸せな時間です。でもその裏で、「ママとしての自分」しかいなくなっていくような感覚があったんです。社会の中の自分が、日に日に薄くなっていく気がして。

周りのママ友と話していても、似たような不安を口にする方は多かったですね。「子どもが大きくなったらどうしよう」「ブランクが長くて怖い」って。でも当時は、その不安をどうすればいいのか、誰も教えてくれなかった。だからこそ、自分で動くしかなかったんだと思います。


——編集部

そこから「自分探し」が始まったんですね。


——巽社長

はい。と言っても、最初は本当に手探りでした。次男に授乳しながら、「自分には何ができるんだろう」って、ずっと考えていましたね。

そんなときに思い出したのが、子どもの頃の記憶だったんです。母が毎朝「大きなれ~大きなれ~」って声をかけながら起こしてくれたんですね。その手のぬくもりと声の感覚が、大人になってもずっと残っていて。

あのぬくもりを、自分の子どもにも、他のママと赤ちゃんにも届けられないかなって。それで「ベビーマッサージ」というものに出会ったんです。赤ちゃんの体にそっと触れながら「大きくなれ」と語りかける——まさに母がしてくれたことそのものでした。これだ、と思いましたね。


自宅の一室から広がったコミュニティ

——編集部

そこから教室を始められたんですね。


——巽社長

2006年4月に自宅でベビーマッサージ教室「Mon²Ange」を開いたのが最初の一歩です。リビングにマットを敷いて、近所のママさんに声をかけて。最初に来てくれたのは本当に数組でした。

大きなビジョンがあったわけじゃないんです。「起業するぞ」なんて意気込みもなかった。ただ、目の前のママと赤ちゃんが少しでもほっとできる時間をつくれたらいいなって、それだけでした。

でもね、教室が終わった後にママたちが「来てよかった」と言ってくれるんですよ。赤ちゃんだけじゃなくて、ママ自身の表情がやわらいでいく。それを見て、「ああ、これは赤ちゃんのためだけじゃなくて、ママのための場所なんだ」と気づいたんです。


——編集部

口コミで広がっていったと聞きました。


——巽社長

そうなんです。来てくれたママが「よかったよ」って別のママに話してくれて、また新しいママが来てくれて。チラシも配っていないし、広告も出していない。全部、ママ同士の口コミでつながっていきました。

唯一、ホームページだけはしっかり作り込みました。ママたちが誰かに紹介してくれるときや、初めての方が『行ってみようかな』と思ったときに、ちゃんと安心感や信頼感を持ってもらえる場所が必要だと思ったからです。

気がついたら、教室というより、ママたちが自然と集まるコミュニティのようになっていたんです。マッサージが終わってもみんなお茶を飲みながらずっとおしゃべりしていて(笑)。育児の悩みを話したり、情報交換したり。「ここに来ると安心する」って言ってもらえるようになって、それがすごく嬉しかったですね。

ママって、孤独になりやすいんですよ。特に小さい子どもを抱えていると、社会から切り離されたような気持ちになることがある。だからこそ、ママ同士がつながれる場所があるだけで、全然違うんです。


教室から会社へ——「応援する側」になりたかった

——編集部

最初から起業を考えていたのですか?


——巽社長

最初はただ、目の前のママと赤ちゃんに向き合っていただけです。でも教室を続ける中で、たくさんのママたちと出会って、たくさんの声を聞いていくうちに、気持ちが変わっていったんです。

みんなそれぞれに不安を抱えている。でも同時に、すごいエネルギーを持っているんですよね。「何かしたい」「自分も誰かの役に立ちたい」って思っているママがこんなにたくさんいるんだ、って。

それで、ベビーマッサージ教室を始めてから2年後の2008年5月に、株式会社マザープラスを設立しました。「ママたちを誰よりも応援する会社をつくりたい」——その一心でした。

教室をやっている中で、ママたちの可能性を目の当たりにしてきたからこそ、その力を活かせる場所を、仕組みとしてつくりたいと思うようになったんです。


不安は、動き出すきっかけだった

——編集部

今「このままでいいのかな」と感じているママへ、一言いただけますか。


——巽社長

完璧な準備が整ってから始めたわけじゃないんです。むしろ、何も整っていなかった。不安で、自信もなくて、先のことなんて全然見えていなかった。

でも今振り返ると、不安だったから「何かしなきゃ」と思えたんですよね。不安は、動けない理由じゃなくて、動き出すきっかけだったんだと思います。

だから、もし今「私なんかに何ができるんだろう」と思っているママがいたら伝えたいです。その不安を感じている時点で、もう一歩目は始まっていますよ、って。大きなことじゃなくていい。小さな一歩でいいんです。自分の手で何かを始めてみること。それだけで、見える景色は変わりますから。


次回(Vol.2)予告:会社設立後、巽社長は「手作り市」を立ち上げます。そこで生まれた「ママが稼げる仕組み」と、回を重ねるごとに起業家へと成長していくママたちの姿。巽社長が確信した「ママのポテンシャル」とは?

次回、「Vol.2 ママが集まると、社会が動く」をお届けします。

執筆者プロフィール

【ママノユメ本部】株式会社マザープラス

【ママノユメ本部】株式会社マザープラス

ママになった女性、ママになる女性、全ての女性にもっともっと元気になってもらいたいと、ママの立場に立った様々な企画や事業を展開しています。 子連れで楽しめるおけいこやイベント、ママの参加型マーケティング事業、さらにはママ向け求人情報など様々な事業の中で、ママと社会との架け橋になる役割を目指しています。 motherにたくさんのplusが加わる事で、ママの素敵な笑顔が増える、そして社会参加の機会をマザープラスは皆さんと一緒に作っていきたいと思います。

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