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『起業』【開業届について】お小遣い程度のプチ収入でも提出する?税理士に聞いてみた
目次
- 開業届提出の判断基準
- 明確な金額の基準は存在しない
- 事業所得を判断する4つの基準
- 基準1「反復継続して行う意思があるか」の具体例
- 基準2「対価を得て行われているか」の具体例
- 基準3「自己の計算と危険において独立して営まれているか」の具体例とリスク
- 基準4「社会通念上、事業と認められるか」の具体的内容
- 事業所得かどうかの大まかな判断目安
- 開業届と確定申告の関係
- まとめ
手作り品の販売や、その作り方を教える講師活動。好きなことで収入を得られるのは素晴らしいことですが、『この活動って、開業届を出す必要があるのかな?』『お小遣い稼ぎのつもりが、もしかして事業にあたる?』と、ふと疑問に思うことはありませんか?特に、収入がまだ安定していない段階では、その線引きは悩ましいものです。
この記事では、そんな疑問をお持ちの皆さまに向けて、どのような活動が『事業』とみなされ、開業届の提出が必要になるのか、その判断基準を分かりやすく解説していきます。」
開業届提出の判断基準
開業届を提出する必要があるかどうかは、その活動が所得税法上の「事業所得」に該当するかどうかで決まります。
所得には様々な種類がありますが、その活動が事業所得に該当する場合には開業届を提出しなければならず、該当しない場合には提出することができません。
明確な金額の基準は存在しない
非常に難しい判断になりますが、よく「売上がいくら以上なら事業ですか」「利益がいくら以上なら事業ですか」といったご質問がありますが、実はそういった明確な金額基準は存在しません。
所得税法では、事業所得は「農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業を営んでいる人の、その事業から生ずる所得」と定義されています。
しかしながら、単にこれらの業種に該当するからといって、必ずしも事業所得になるわけではありません。
判断基準を交えて解説していきます。
事業所得を判断する4つの基準
業種への該当に加えて、さらに以下の4つの基準を総合的に勘案して判断します。
反復継続して行う意思があるか対価を得て行われているか
対価を得て行われているか
自己の計算と危険において独立して営まれているか
社会通念上、事業と認められるか
それぞれ具体的に見ていきましょう
基準1「反復継続して行う意思があるか」の具体例
まず1つ目の「反復継続して行う意思があるか」についてですが、例えば、フリーマーケットや手作り市などで1日だけ出店するような場合は、事業に該当しないということです。
1日だけの出店は単発的な活動とみなされ、通常は事業には該当しません。例えば、1日だけアクセサリーを販売する場合、行為自体は小売業に該当しますが、「反復継続して行う意思」という要件を満たさないため、事業所得とはなりません。
ただし、フリーマーケットであっても、様々な場所で継続的に販売活動を行っている場合は、事業所得に該当する可能性があります。
基準2「対価を得て行われているか」の具体例
次に2つ目の「対価を得て行われているか」ですが、これはボランティア活動のように対価を得ていない場合は事業に該当しない、ということです。
事業とは、基本的には仕事をして対価(お金)を得て、それで生計を立てていくというイメージです。したがって、作ったものを無償で提供したり、無料で教えたりするような、お金を稼ぐことを目的としない活動は事業にはあたりません。
また、極端に安い価格で販売するなど、明らかに儲けを出すことを意図していない場合も、事業とは言えないでしょう。
基準3「自己の計算と危険において独立して営まれているか」の具体例とリスク
3つ目の「自己の計算と危険において独立して営まれているか」について、具体的に説明します。
これは、会社員(サラリーマン)の立場とは逆の状態をイメージしていただくと分かりやすいです。
例えば、業務で使用するパソコンは、会社員であれば会社が用意してくれますが、事業主であれば自分で経費を負担して購入しなければなりません。
また、「危険において」というのは、事業活動において何らかの問題(例えば過失による損害賠償など)が発生した場合、会社員であれば会社が責任を負うことがありますが、事業主の場合はすべての責任を自身で負うことになります。
事業に伴う損失や負債のリスクを自ら負い、自己破産に至る可能性すらあるのです。
そうしたリスクを負いながら、自らの判断と責任で事業を行うことが求められます。
基準4「社会通念上、事業と認められるか」の具体的内容
最後に4つ目の「社会通念上、事業と認められるか」について、こちらも具体的に説明します。
これは、その活動が客観的に見て、世間一般から「仕事」として認識されるかどうか、という点です。
非常に抽象的な基準に聞こえるかもしれませんが、その人の職歴、社会的地位、生活状況、取引先の有無、事務所や事業所の設置状況などを総合的に考慮し、「この人は事業を行っている」と社会的に認められるかどうかが問われます。
これら4つの基準を総合的に考慮して判断する必要がありますが、まだまだ判断が難しく感じることもあるかと思いますので「事業所得かどうか」について詳しく説明していきます。
事業所得かどうかの大まかな判断目安
あくまで大まかな目安ですが、「これから行う活動で生計を立てていく」「この活動で生活していく」という強い意志がある場合は事業所得に該当する可能性が高く、開業届の提出が必要になると考えられます。
逆に、配偶者の収入で主に生活しており、その傍らでお小遣い程度の収入を得る活動であれば、事業所得には該当せず、開業届も不要と判断できる場合が多いでしょう。
これが一つの簡単な判断基準になるかもしれません。
開業届を出すべきかどうかについてはお分かりいただけましたでしょうか。
そこで次に気になるのが「確定申告」ではないでしょうか。
ここからは開業届と確定申告の関係について説明していきます。
開業届と確定申告の関係
活動が事業所得に該当すると判断されれば開業届を提出し、その所得について確定申告を行う必要があります。
ただし、「開業届を出していないから確定申告をしなくても良い」ということにはなりません。
収入がある場合は、それに対する確定申告は開業届を出していない場合でも必要になります。
逆にたとえ事業所得であっても、最初のうちは赤字で利益が出ていない場合など、所得税が発生しないケースでは確定申告が不要なこともあります。
をお勧めします。
まとめ
今回は、手作り品の販売や講師の活動などが『事業』にあたり、開業届の提出が必要になるかどうかの判断基準について解説しました。
まとめると、以下の点が重要になります。
- 開業届の要否は『事業所得』に該当するかで決まる。
- 売上や利益の額に明確な基準はない。
- 『反復継続して行う意思があるか』『対価を得て行われているか』『自己の計算と危険において独立して営まれているか』『社会通念上、事業と認められるか』という4つの基準を総合的に見て判断される。
- 大まかな目安として、『その活動で生計を立てていく』という強い意志がある場合は事業所得に該当する可能性が高い。
- 開業届を提出していなくても、事業所得や雑所得として確定申告が必要な場合がある。
ご自身の活動が事業に該当するかどうかの判断は、非常に複雑で難しいものです。
『お小遣い稼ぎ』のつもりが、いつの間にか事業としての規模になっていることもあります。
もし判断に迷う場合は、決して自己判断で済ませず、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
専門家のアドバイスを受けることで、安心して活動に専念できるようになるでしょう。
※この記事は2020年9月14日にYouTubeチャンネル「株式会社マザープラス」にアップロードされたものを記事にしたものです
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